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    「ボトルネック」の感想を書いていきます。

    ボトルネック 作_米澤穂信 新潮社 2006年初版

    未読の方は先に紹介記事をどうぞ!ここから先はネタバレありです!

    とんでもない、なんだこれは、どういう終わり方だこれはーーーーー!!!!!
    読み終わってすぐの感想。ただ落ち着いて考えると少しずつ感想が変わってきた。

    本小説におけるボトルネックの意味はとても残酷だ。

    サキはいつだってその思考と行動力で危機を突破してきた。到底真似できない傑物だ。
    どのような人も、振り返ると人生色々だがなんだかんだやれていると思っているのではないか。
    それを人生単位で「実はもっと上手くやれましたよ」と見せられたらそれはたまらない!

    ただ、その事象をどう受け止めるかは当人にかかっている。
    ・東尋坊の魔物は、死に引き寄せるためサキの世界を見せたのかもしれない。はたまたサキの世界自体が魔物が作り出した幻想かもしれない。
    ・「生まれなかったツユ」はリョウの世界も、やりようによっては希望があることを伝えたかったのかもしれない。

    最後の母からのメールは圧倒的なまでの現実だ。リョウがそれに立ち向かうかどうかは記されていない。
    魔物に引かれ落ちるか、ツユの示した希望に向けて突き進むか。

    後者であってほしいと思う。
    リョウはサキに携帯番号を伝えていて、ツユが電話をかけてきてくれた。「昨日できなかったことも、今日はわからない」。
    イチョウにしてもそう。小さなきっかけが連鎖反応的に良転していく。

    何もしてこなかったリョウだからこそ、ほんの少しのできごとで人生が変わり始めるのではないだろうか。

    読了直後はバッドエンドかと思ったが、今は違うと思う。安易なハッピーエンドにせず、辛い現実でも立ち向かっていくことの大切さを伝えたかったのだと思う。

    日々の生活を見つめ直すきっかけになった、良い小説でした!

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